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土佐錦魚の基本的な飼育方法 春〜夏編

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土佐錦魚の基本的な飼育方法 春〜夏編

基本的な飼育方法

昔から土佐錦魚や出雲なんきんは稚魚の段階からイトミミズを餌とすることで、細長い顔を作り出すといわれています。しかしながら最近では人工飼料での飼育も一般的になり、品評会入賞の実績も出ています。高級金魚の飼育には良く利用される浅水(あさみず)での飼育になりますが、当歳の秋まではすり鉢状の専用の容器(丸鉢)で飼育します。丸鉢では日差しの影を作らず水温に鉢表面と底面の水温差ができるため角鉢とは異なった魚の泳ぎ方に変化(上下、周回、静止)が生まれることで土佐錦魚独特の尾が創られると言われています。当歳秋以降の浅水での飼育は土佐錦魚の特徴でもある反転尾に対して、水圧の影響を受けないように飼育するためです。

土佐錦魚は金魚の入手も難しいですが、近親傾向の強い金魚ですので体質が弱く病気を発症しやすい魚です。尾が薄いので取り扱い不良や産卵期に尾が割れたり、水温や水質の変化で気泡が入ったりして尾を傷つけやすく、胃腸も弱く、浮袋の異常を起こしやすいので飼育も難しいと思われます。

手術について

高知では昔から手術して理想の魚を目指すことが一部で行われて、痕が残らなければ良いとして、完成された土佐錦は天然同様、芸術品と考えました。修正は鰓のまくれや桜尾、皺、弛み、尾芯の重なり、親骨の位置等です。

四季の飼い方 春〜夏編

冬眠明けは自然飼育では3月下旬~4月上旬を目安として、冬眠明けの準備にかかります。起こしたばかりは餌を与えず、床直しをするために容器の苔など全て取り去り、目安として、大体一週置きに第一回目は青水が濃いほど慎重に行いや古水を50%~80%からはじめて、第二回目も半分ほど古水を割ります。三回目が終了して、ほぼ新水に馴染んだところで日中は水温18℃以上、平均水温13℃以上になり、活動しやすい温度になり春らしい季節となっていると思います。餌は魚へのストレス、コンディションを考えて床直しが終わり、割水を三回位してから与えます。与える餌はなるべく水分量の多い生餌が理想です。生きた餌がなかなか手に入らない環境では嗜好性も考えて、冷凍赤虫が便利です。数日から二週間程はこのような餌を与えてゆっくり腸を動かして魚のコンディションを上げていきます。

産卵期に入ると、雌は池の縁をぐるぐると回るようになり、雄は追星といっても前ビレに白い粒状のものが浮かび上がってきます。成熟した雄は軽く手で持ち、腹を軽く押さえると肛門付近から精子が確認できると思います。水温が15度以上になり安定してくると雄の追星が増え、雌はお腹が柔らかく膨らみ卵を持ちます。雌雄不明の魚やなかなか産まない魚もいたり成熟のタイミングがずれたりしてなかなか産まないこともあります。産卵は人工的に行う方法と自然産卵があり、土佐錦魚の場合は尾が命であり、傷んでは困るので人工受精が一般的です。自然産卵の場合、雄が雌を追い回し過ぎて尾や体表を傷めたり、死なせてしまったりする場合がありますので注意してください。自然産卵の場合は産卵藻を池にいれ雄4~3匹、雌1~2匹など、必ず、雄の方が多い方が受精率の点から望ましいといえます。人工受精の方法では雌雄の魚を両手に持ち、まず雌の腹を押して卵を出すと同時に放卵された卵に雄の精子をかけながら水流を作り均等に卵が散らばるように洗面器や魚巣に付着させます。受精していれば水温20度であれば約5日で孵化します。卵は2~3日目には卵の中に黒い目が見えてきて形もだんだんはっきりあらわれます。このとき、白くなっているものや、カビにおおわれているものは、無精卵が多く、ほとんど腐ってしまいます。
受精していれば孵化して、2日ほど経って泳ぎ出したら、ミジンコの子供やブラインシュリンプなどを与え始めます。昔の高知の飼育者の中にはこの時期に糸目の刻んだものを与えていた方もいたようです。

孵化した魚には初期飼料を与え生後1週間位すると尾が開いてきますので、体長5㎜位なって時間に余裕があれば、開いていないフナ尾を撥ねてください。とはいっても稚魚の数は大変多いので、生後2~3週間たって1.5~2cm位になるまで待って尾の広がりがはっきりしましたら、開きが60~100度位でゆとりのある(尾芯の部分がぴんと張ったゆとりの無い尾は大成しないので、少しグニャグニャしているくらいの感じ)柔らかい尾でまっすぐすばやく泳げる魚を30~50匹位選び出し丸鉢に入れて丸鉢での飼育を開始し、尾を仕上げて行きます(なお選別から外れた魚も鉢に余裕があれば、角鉢でしばらく飼育しておくと、その中からすばらしい魚が出てくることがあります)。
この頃になれば、糸目をそのまま食べられますので、飼育は容易になります。糸目の入手できない方はミジンコやシュリンプ(生きたものや冷凍)、冷凍コペポーダや初期飼料を与えても良いと思います。これらの餌を食べるようになりますと水の傷みも早くなりますので、毎日部分換えするか2日に1回位換えませんとすぐ濁ってしまうでしょう。水換えは水の透明度が無くなればすぐに行ってください。なお水換え時には気になる欠点のある魚はどんどん撥ねてゆき夏頃までには多くても4~5匹に数を減らしていってください。この際選別で注意することは体を振ってバタつく泳ぎをする魚は尾に何かしら欠点を持っているので素直に真っすぐ泳ぐ魚を残すようにしてください。また長手の魚はやや張り気味、丸手の魚は少し弱めの尾でも狂いがなければ残していくことです。なお鉢にはコケが生えてきますので、週に1~2回位はコケをブラシなどでしっかり落としてください。稚魚にコケばかりを食べさせておきますと泳がなくなりますので、適度にコケを食べさせながら十分に給餌も行うセンスを習得して食べ過ぎによる顔の崩れを予防しながら肥大化させないように飼育することが大切です。また丸手の魚は餌を与えすぎると尾付けが腹に押されて持ち上がり将来転覆しやすくなりますので控えめに飼育することが勧められます。ただし色変わりの時期にはあまり餌を与えずコケなどを食べさせて、少し青水になった状態で飼っておいてください。あまり透明な水に入れておきますと更紗魚は色が飛んで白の魚ができてしまいます。
夏場の水温上昇に対してトサキンは良く耐えるのですが、最近の温暖化により予想以上の高水温になる時がありますので、40℃以上になるようでしたら、寒冷紗や木の板などで日覆いをしてあげると良いでしょう。

稚魚を飼育する鉢について

さてここで稚魚の飼育に用いる鉢について少し述べておきます。稚魚を飼育する鉢には丸鉢と角鉢がありますが、丸鉢は9~10月位までの前(尾の先端の反転部分の骨)を決める(固定する)までの期間に用います。丸鉢にはおわん型とすり鉢型の2種類があります。すり鉢型は鉢の斜面が直線で光の入りが良いので水温の上昇が早く魚の仕上がりが早いが飼育が少し難しいと言われています。それに対しおわん型は水温の上昇がすり鉢型より緩やかな分、夏場の日覆いが遅れても良いので失敗が少ないようです。この丸鉢の選択は各自の好みもあり様々な鉢が飼育者によって作成されていますので、飼育者は各自の魚を創りやすい鉢を経験的に選んで(これは日当たりや飼育環境によって異なると思いますので)使用すると良いと思います。前を決めた後は角鉢に移し替え、返しを作るのです。ここまで具体的にいろいろ述べましたが、当歳魚の育成で注意しておかなければならない一番大切な点は、ただ大きくすることばかりに力を注がないことです。ただし、あまり控えた飼い方をしてしまいますと親になって迫力に欠けた魚になってしまいますので品を無くさない程度に順調に大きく育成することが重要ではないかと思います。

土佐錦魚の飼育方法 夏〜秋編

土佐錦魚の飼育方法 秋〜冬編

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