キンギョのヘルペスウイルス性造血器壊死症
- 1992,1993年の春と秋に採取した病魚から確認されたキンギョの造血器壊死症ウイルス(GFHNV:Goldfish Hematopoietic Necrosis Virus)による病気(Jung and Miyazaki, 1995)
- 1992年以前より発生していた
- 早春から初夏および秋から初冬にかけて水温が15~25℃の時期に大量斃死
- 稚魚を含めあらゆる年齢、あらゆる種類の金魚に発生
- 元気なく水面を漂い瀕死状態では水底に沈んで動かなくなる
- 外見
- 剖検的には全身性の重度貧血(鰓と肝臓の褪色)脾臓の軟化と腫大、腎臓の褪色と軟化、時に腹水
- 確定診断はウイルスの検出(研究機関に依頼)
■キンギョのヘルペスウイルス性造血器壊死症の治療と対策
〈個人的見解〉
- ウイルスをなくすことは現在の情況ではかなり困難(卵のポピドンヨード消毒によりウイルスフリー魚の生産も提唱されているが疑問)
- キャリアー(感染後生存魚)をいかに多数残せるか(抵抗力のある魚の作出)+キャリアー再発病時の対策(早期発見と昇温治療)
(付記)
受精後5~6時間後から翌日までに水産用イソジン10%液を5ml/L使用して15分浸漬
受精後5~6時間は卵が吸水するのでふ化率が低下する
■昇温治療(埼玉県農林総合研究センター報告)
- ヘルペスウイルス感染時の死亡率は水温29℃までは100%だが30℃を超えると低下して33℃では0%(実験感染魚) → 実験感染させて発症する前の魚を使用
- 自然感染で発症を認めてからでも昇温(2~3時間かけて33~35℃に昇温させ4日続けると死亡率を低下させることができた。ただしカラムナリス、吸虫などとの混合感染でヘルペスは克服できても死亡することがある(昇温は消毒されたきれいな薬浴槽で行う方が良い)。
■品評会から帰ってきてからどのようにしたら良いか
(トサキンでは洗面器審査なので品評会時に感染するリスクは少ないがキャリヤーの場合再発病は起こりうることを想定、体力低下による細菌などの感染もありうるため)
- 除菌(5%塩水+パラザンDやエルバージュによる吸虫類まで考慮するならリフィッシュ、マゾテンを加える)
- その後少しでも様子がおかしければ昇温
〈予防的アシクロビル(人の抗ヘルペスウイルス薬)添加飼料投与法〉
20ccの水に400mgのアシクロビルを溶いて蜂蜜で味付けし、100gの飼料(ペレット)をつけて薬成分を飼料に吸着させて4-5日魚に投与 品評会から帰ったら翌日から少しずつ与えるとウイルスを抑制する?
(経験的)
除菌した後に行った方が良い?