わんにゃん日記

続々 健診のお話

掲載日 : 2018-06-20

今回は 10歳のマルチーズ A君のお話です

A君は5歳の時から 毎年フィラリアの検査の時に
血液のスクリーニング検査を受けていて
今まで 少しALP(肝臓・胆道系の酵素)が高めですが
たいした異常ではなく 元気いっぱいの男の子です

今年も いつものように トリミングのついでに
検査を依頼されました

3日ほどで検査結果が届き 報告書をチェックしました
生化学検査では 相変わらず ALPがやや高め
”まあ たいした異常はないな・・・”

次に全血検査 赤血球数は正常ですが
貧血の指標であるヘマトクリット値(Ht)とヘモグロビン濃度が
わずかに低値(Ht の正常値38.3以上のところが37.9)

今回だけの結果をみれば 経過観察で2~3か月後に再検査
となるところですが
昨年までのA君のHt 値はいつも46~48ありました

そこで他の項目をみてみると 血中タンパクのアルブミンが
異常な低値を示していました

これはどこかからの出血を疑わせる所見です

飼い主さんに連絡してお話をうかがったところ
最近ケガをしたり 出血をした覚えはないとのこと

となると 体内(腹腔内や消化管)の出血が疑われます

そこで すぐに来院していただき とりあえず 腹部のX線検査をしました

すると お腹の中に 直径5cmほどの 腫瘍と思われる陰影が見つかりました
超音波検査を行ったところ 肝臓か脾臓のあたりの腫瘍の可能性が高いのですが
どちらから発生しているのか 確証がつかめません

       

そこで 高度検査のできる病院に連絡をとり CT検査を行ってもらったところ
脾臓からの腫瘍であることが判明しました

飼い主さんと相談の結果 早速 脾臓摘出の手術を行うこととなりました

ところがこの間に A君の貧血が急激に進行してしまい
麻酔をかけることのできる 下限値を下回ってしまいました

輸血のクロスマッチテストに適合したシェパードから献血してもらい
A君に輸血を行い 無事脾臓摘出の手術をすることができました

術後2カ月たちますが 現在A君は元気にしており
今日もトリミングに来院されました

しかし 腫瘍の病理検査の結果は悪性の腫瘍で
今後も再発や転移の可能性があり 予後は油断できません


今回のA君の経過をみると
やはり 健康診断も1回だけの結果で 数値の高低をみるのではなく
継続して 数値の変化をみていくことが重要であると実感しました

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